イケメン副社長にほだされました
「那月製薬受付の大塚と申します。
中津さんの携帯でよろしいですか?」
『おう!さやかちゃん。どうしたの?』
電話口の中津さんの雰囲気からすると忘れ物に気づいてないみたい。
「実は、うちの受付ボードに中津さんのものと思われる封筒がありまして、」
『げっ、やば。』
そこまで言うと、すぐに気づいたのか本当にやばそうな声をあげた。
ごそごそと何かを探るような音がする。
『あー、ごめん。俺のだわ。
でもなあ、ちょっと今すぐは…。』
非常に困った声で歯切れ悪く言う中津さんは、今取りに来れるような状態じゃないようだ。
「あのー、終業後でよろしければ、私お届けしましょうか?」
あとほんの少しで就業時間は終わる。