姫サマはキワドいのがお好き☆
「あぁ。気がついた。よかったよ。」
ヒカルは膝の上のハッドにほほ笑んだ。薄く開いた眼が徐々に開いてくる。
「ここは…地獄なのに…。なぜあなたがいるのですか?」
ハッドは動きもせずにつぶやいた。
「ん?大丈夫…」
「なるほど、わかりましたです。あなたは私を殺した後にハッドとカーリに返り討ちにされたんですね。ざまあみろなのです。」
ハッドは細い目をさらに細めた。
ヒカルはやっと現状が呑み込めてきた。
「んー。まぁお互い死んだ身、仲良くしましょう。」
ヒカルはハッドの手に自分の手を押しあてた。
「あなたのような人となれ合うのは死後の世界でもごめんなのです。」
ハッドは細い眼を閉じた。
「んー。ハッドは残念ながら勘違いをしている。」
ハッドは眼を開けなかった。ヒカルはそれを無視して話を続けた。
「僕は姫を守ろうとしただけ。だいたい電気を留めてナイフ持って窓から侵入してきたら思いっきり警戒するでしょ。」
「ん…。」
「ということで、僕を驚かそうと不用意に攻めてきたキミが悪い。そうじゃない?」
「それで死んだの…。」
「まぁ、そうかな…。」
「ご、ごめん…。」
目を閉じたままハッドはうなだれた。
「まぁまぁ、それよりいい知らせがある。」
ヒカルはハッドの赤みが勝った頬をなでた。
「この世界を僕は旅した。殺されてからすぐにね。それで君を発見し…そして、その君を担いでここまで来た。それですごいことをしたんだよ。」
「私を担いでたの?」
「ああ。それでね。すごい秘宝を手に入れたの。」
「私を…。そう、まぁ、死んだんだから一緒にいても罰が当たらないですよね…。」
「それで、これで生き帰れるよ。」
「そう。それで、これからどうしますか?って、生き帰れるんですか?」
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