姫サマはキワドいのがお好き☆

「ヒカル様。このようなことになりまして本当に申し訳ありません。」
ハイリはヒカルに深々と頭を下げた。
「いいえ。まぁとりあえずあなたの警告を受けていましたし、もともと姫様の安全に関してはプライドがありましたから…。」
「それはまことに頼もしいことです。ですが、このたび私はこの行動をある程度予想していながらも防ぐことができなかった。一生の不覚です。」
ハイリは頭を抱えるそぶりをした。
「フフフッ。あなたの今日のすべての行動。どこに不覚がありますか？」
「と言いますと？」
ハイリの眉間にしわが寄った。
「あなたは姫の部屋のブレーカーをおろしましたね。」
「…。」
「おそらくお使いというものにもいかずに、われわれの戦を見ていたのではないですか？」
「…。」
ハイリは表情を変えずにじっとヒカルを見ていた。澄んだ青い瞳が光をその中に吸い込んでいく。
「このような言い方をするのがいいかわかりませんが、おそらく僕を試した…。そんなトコロではないですか？」
「…。」
「そうですね～。それより姫の部屋の盗撮はやめてあげてください。それと、姫の部屋にアルコールを置いておくのはやめてください。あの子はアル中で倒れますよ。」
「フフフッ」
ハイリの口元から笑いが漏れた。
「…。」
「あ。これは大変失礼しました。いや、あのカメラのことまで言われてしまってはなんの言い訳もできませんね。しかし、べつにヒカルさんを脅かしたわけではありません。ウチの使えない部下たちに少しでも刺激になればと思ったからです。しかしながら、あのように刃物を振り回すとは…想定外でした。」
「べつに誰も傷ついていない。あ、ハッドさんは気絶しちゃいましたけど…。僕なりのユーモアあふれる起こし方をしておきました。心配はいりません。」
「そうですか。」
ハイリは一つ息を吐いた。
「いまさらですが、殿下をよろしくお願いいたします。学校に行かれるとお独り暮らしとなりますので…。」
「任務ですから…。理解してます。」
「せいぜい何も起こらないといいですね。」
ハイリが笑った。