あたしはそれでもアキが好き
理由
家に戻ってからもしばらく涙が出続けて、ふと気が付くと外はもう真っ暗だった。


あたしは濡れた頬を手の甲でぬぐい、スマホを確認した。


アキからはなんの連絡も入っていない。


次にあたしは大きく息を吸い込んで、『2つの性別を持つ病気』と、検索をかけた。


ズラリと出て来たサイトは二重人格や性同一性障害などがほとんどで、アキに当てはまるものはすぐには出て来なかった。


しかししばらく調べていると、その言葉が突然あたしの視界に飛び込んできた。


《半陰陽》


難しい言葉が沢山並んでいるけれど、アキの場合は男性器が表に出ていて、女性器が完全に体内に隠れた状態だった。


だから生まれてすぐに半陰陽だと気がつく事もなく、14まで男として生きて来た。


しかし体内になる女性器も微かながら動いていて、生理らしきものが始まっていたらしい。


そのためアキは今年4月に腹痛で倒れたのだ。


読めば読むほどアキの事とは思えなくなる。


だけど、アキの外見を思い出すと女性的であることは確かだった。


あたしはまた涙で視界がぼやけるのを見ていた。


服の袖でそれをぬぐい、しっかりと説明を読み進めていく。
< 19 / 40 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop