♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~③
「えっ?あ、ああそうだね。
何せ今年のかるた部には、無敵のエースがいるからね、は、は、は…」
春子の言葉とウインクに反応し、そう答えた礼士。
その礼士の言葉を受けて恵は、ふうん、とうなずき、こう言った。
「…じゃあ今年は期待できそうね。
何せ、去年はあのかるた部、ゴタゴタがあったから。
同じ文化部として、頑張ってもらわないと」
「えっ?ゴタゴタ!?」
「ゴタゴタ…って、去年、かるた部に何かあったんですか、雪野先輩?」
恵の言った言葉に、敏感に反応した二人。
そこで恵は、少し残念そうな表情をしながらこう言った。
「不祥事よ。かるた部のとある生徒が喫煙事件起こしたおかげで、去年は大会にエントリーされていた子が出場出来なくなっちゃったの。
連帯責任で」
「連帯責任!?」
春子と礼士は、思わず顔を見合わした。
恵は話を続けた。
「私達の高校は、芸術や伝統文化に力を入れているから、そう言った個人的な過ちでも、重く見るのよ。
ほら、たまにニュースでもあるじゃない。
どこかの野球部員が起こした不祥事で、その年の大会にチームとして出られなくなった例。
うちの文化部は、他校と比べてもかなり厳しいのよ、そういう所が」
「…そ、そんなに厳しいんだ、うちの文化部は。
ははっ、ハルちゃん?
僕達、のほほんと活動している同好会で、良かったね…
…って、えっ?何?ハルちゃん?」
(もしかしたら、恵さんから今回起ころうとしている事件のヒントがもらえるかもしれませんよ…)
春子にそう耳打ちされた礼士。
なるほど、とうなずくと礼士は恵に、去年のかるた部の不祥事の内容を、更に深く聞き出す事にした。
「…いいわ、教えてあげる。
これは私が交流のあった、もうすぐ卒業するかるた部の三年生の先輩から聞いた話なんだけれど…」
そう言って恵は、春子と礼士を机に案内すると、本棚から一冊の本を二人に差し出した。
「…去年も今年と同じ様に、かるたの県大会に出場する候補の選手が二人いたのよ。
二人はライバル同士で、この大会に出られるのは、どちらか一人だった。
この本は、去年の物だけれど…」
そう言いながら恵は、その本、『稲月高校広報誌』の36Pを開いて二人に見せた。
そこには、去年のかるた部のメンバーが写真に写っていた。
そして恵は、その中のある二人を指差し言った。
「この二人よ」
何せ今年のかるた部には、無敵のエースがいるからね、は、は、は…」
春子の言葉とウインクに反応し、そう答えた礼士。
その礼士の言葉を受けて恵は、ふうん、とうなずき、こう言った。
「…じゃあ今年は期待できそうね。
何せ、去年はあのかるた部、ゴタゴタがあったから。
同じ文化部として、頑張ってもらわないと」
「えっ?ゴタゴタ!?」
「ゴタゴタ…って、去年、かるた部に何かあったんですか、雪野先輩?」
恵の言った言葉に、敏感に反応した二人。
そこで恵は、少し残念そうな表情をしながらこう言った。
「不祥事よ。かるた部のとある生徒が喫煙事件起こしたおかげで、去年は大会にエントリーされていた子が出場出来なくなっちゃったの。
連帯責任で」
「連帯責任!?」
春子と礼士は、思わず顔を見合わした。
恵は話を続けた。
「私達の高校は、芸術や伝統文化に力を入れているから、そう言った個人的な過ちでも、重く見るのよ。
ほら、たまにニュースでもあるじゃない。
どこかの野球部員が起こした不祥事で、その年の大会にチームとして出られなくなった例。
うちの文化部は、他校と比べてもかなり厳しいのよ、そういう所が」
「…そ、そんなに厳しいんだ、うちの文化部は。
ははっ、ハルちゃん?
僕達、のほほんと活動している同好会で、良かったね…
…って、えっ?何?ハルちゃん?」
(もしかしたら、恵さんから今回起ころうとしている事件のヒントがもらえるかもしれませんよ…)
春子にそう耳打ちされた礼士。
なるほど、とうなずくと礼士は恵に、去年のかるた部の不祥事の内容を、更に深く聞き出す事にした。
「…いいわ、教えてあげる。
これは私が交流のあった、もうすぐ卒業するかるた部の三年生の先輩から聞いた話なんだけれど…」
そう言って恵は、春子と礼士を机に案内すると、本棚から一冊の本を二人に差し出した。
「…去年も今年と同じ様に、かるたの県大会に出場する候補の選手が二人いたのよ。
二人はライバル同士で、この大会に出られるのは、どちらか一人だった。
この本は、去年の物だけれど…」
そう言いながら恵は、その本、『稲月高校広報誌』の36Pを開いて二人に見せた。
そこには、去年のかるた部のメンバーが写真に写っていた。
そして恵は、その中のある二人を指差し言った。
「この二人よ」