♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~③
春子と礼士は、いつも行きつけの喫茶店に場所を移す為、奇術同好会を後にした。
喫茶店は、二人が家路に向かう駅方面の道中の、商店街にあった。
そしてもうすぐで喫茶店が見えるかどうかという所まで来た時、二人はあれっ、と立ち止まった。
ーあの後ろ姿はー
身長は180㎝ぐらい、ショートシャギーの黒髪の長身の女の子で、雑貨店の出口の看板の陰に隠れて、前方の様子をコソコソと窺っていた。
その女の子の横顔が、ちらっと見えた。
ー多野たえ子⁉︎
あんな所で一体何を窺って…ー
春子と礼士は、たえ子の視線の先を追ってみた。
そこに発見できた、もう一人の人物…
遠目だが、顔を見る事は出来たので何とか判別がついた。
ー谷本亮!ー
春子と礼士は、思いもかけず、これから起ころうとしている事件に関する、重要人物と考えられる二人を同時に発見した。
その事によって二人は、これから何か大変な事が起こりそうな予感を感じずにはいられなかった。
亮は、商店街の賑やかさが気に入らないのか、ただ機嫌が悪いだけのか、歩きながら辺りをたまに窺う表情は険しい。
そこには、かるた部の部室で二人に見せていた親しみやすい感じは、一切なかった。
そして、その様子を付かず離れず、一定の距離から窺い続けるたえ子。
「二人とも制服姿のままだ。下校途中らしいね、ハルちゃん」
「でも、何でたえ子さんが、谷本さんの事をあんな所からコソコソと…」
二人が、その光景を不思議に思っていると、突然亮は、商店街の脇道にそれて姿を消してしまった。
そして、たえ子もその様子を受けて、看板の陰から姿を現して、いそいそと亮の後を追った。
「あっ!二人とも行っちゃう!
礼士先輩!私達もあの二人の後を追いましょう‼︎」
「ちょ、ちょっとハルちゃん!
そ、そんなに引っ張らないで!」
春子と礼士の二人が、亮とたえ子の後を追って行き着いた先にあったもの。
それは、朱色がはげかかった、一基の鳥居だった。
「鳥居…奥の方に神社でもあるのかしら。
谷本さんは、すでに姿が見えませんが、たえ子さんが鳥居をくぐっていくのが見えますね。
礼士先輩、行きましょう」
「き、気付かれないように、そ〜っと、ね」
鳥居をくぐれば、春子と礼士の目の前に参道が現れた。
道の両脇には、大きな樹が生い茂っていた。
…薄暗く、気持ちひんやりとしたこの空間が、どこか異世界にでも迷い込んだかの様な錯覚を、春子と礼士に覚えさせた。
そんな参道を行く亮の後を、たえ子が追い、たえ子の後を春子と礼士の二人が追った。
しばらくして、突然春子が歩みを止め、先に進もうとする礼士を静止させた。
(おっと、どうしたの、ハルちゃん?)
(どうやら、ついたみたいですよ、礼士先輩)
喫茶店は、二人が家路に向かう駅方面の道中の、商店街にあった。
そしてもうすぐで喫茶店が見えるかどうかという所まで来た時、二人はあれっ、と立ち止まった。
ーあの後ろ姿はー
身長は180㎝ぐらい、ショートシャギーの黒髪の長身の女の子で、雑貨店の出口の看板の陰に隠れて、前方の様子をコソコソと窺っていた。
その女の子の横顔が、ちらっと見えた。
ー多野たえ子⁉︎
あんな所で一体何を窺って…ー
春子と礼士は、たえ子の視線の先を追ってみた。
そこに発見できた、もう一人の人物…
遠目だが、顔を見る事は出来たので何とか判別がついた。
ー谷本亮!ー
春子と礼士は、思いもかけず、これから起ころうとしている事件に関する、重要人物と考えられる二人を同時に発見した。
その事によって二人は、これから何か大変な事が起こりそうな予感を感じずにはいられなかった。
亮は、商店街の賑やかさが気に入らないのか、ただ機嫌が悪いだけのか、歩きながら辺りをたまに窺う表情は険しい。
そこには、かるた部の部室で二人に見せていた親しみやすい感じは、一切なかった。
そして、その様子を付かず離れず、一定の距離から窺い続けるたえ子。
「二人とも制服姿のままだ。下校途中らしいね、ハルちゃん」
「でも、何でたえ子さんが、谷本さんの事をあんな所からコソコソと…」
二人が、その光景を不思議に思っていると、突然亮は、商店街の脇道にそれて姿を消してしまった。
そして、たえ子もその様子を受けて、看板の陰から姿を現して、いそいそと亮の後を追った。
「あっ!二人とも行っちゃう!
礼士先輩!私達もあの二人の後を追いましょう‼︎」
「ちょ、ちょっとハルちゃん!
そ、そんなに引っ張らないで!」
春子と礼士の二人が、亮とたえ子の後を追って行き着いた先にあったもの。
それは、朱色がはげかかった、一基の鳥居だった。
「鳥居…奥の方に神社でもあるのかしら。
谷本さんは、すでに姿が見えませんが、たえ子さんが鳥居をくぐっていくのが見えますね。
礼士先輩、行きましょう」
「き、気付かれないように、そ〜っと、ね」
鳥居をくぐれば、春子と礼士の目の前に参道が現れた。
道の両脇には、大きな樹が生い茂っていた。
…薄暗く、気持ちひんやりとしたこの空間が、どこか異世界にでも迷い込んだかの様な錯覚を、春子と礼士に覚えさせた。
そんな参道を行く亮の後を、たえ子が追い、たえ子の後を春子と礼士の二人が追った。
しばらくして、突然春子が歩みを止め、先に進もうとする礼士を静止させた。
(おっと、どうしたの、ハルちゃん?)
(どうやら、ついたみたいですよ、礼士先輩)