♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~③
先程から、春子の後ろから肩をトントンとたたく人物。

春子が振り返れば、そこには安宮礼士…もとい、礼士のもう一つの顔、ヴァンパイア礼士がそこにはいた。

「よう、乙女座(^_−)−☆」

「(^_−)−☆…じゃあ、ないわよアンタ!

ちょっとこっちに来なさいよ!」

「おいおい、どこまで連れて行く気だよ。

痛えな!腕そんなに引っぱんなって!」




「何だよ、こんな人気の無い校舎裏まで俺様を連れて来やがって…

…!

あれ〜っ?ああ、そういう事⁉︎

さっき見ちゃったお二人さんの行為に興奮しちゃって、『私達も、負けてられないわ』ってか?

良いねえ。じゃあ早速…

…ぐわっ!」

気持ち良くそう話すヴァンパイア礼士のみぞおちに、春子の拳が突き刺さった。

「き…効く〜っ!

だ、だがな乙女座、俺は何もそんな激しい愛情表現を求めている訳では…」

「何言ってんの?馬鹿じゃないのアンタはっ(#O o;)

そうじゃないわよ!何なのよ今回のずさんな挑戦状は!

ヒント無しで、どうやって解決しろってのよ!」

「あの本が、全てだ。まさかお前、たまたまあの本が誰かに借りられていた事まで、責任持てっていうんじゃあないだろうな」

「当たり前でしょーが!事件が起こる期日は刻一刻と迫っているというのに、何一つ進展して…」

「いや、そんな事はないよ。

流石だよ乙女座は、偶然とはいえ、城田結と谷本亮、そして多野たえ子と月山美加の関係を突き止めるなんて!

持ってるものがあるよ、美人で可愛らしいだけでなく、聡明で強運の持ち主らしい」

「えっ?

…いゃあ〜っ、そんなにほめられると、私、困っちゃうわ。

美人で可愛らしくて、それでもって…」

ヴァンパイア礼士にそう言われ、両手でほおを押さえ、デレデレしている春子を確認し、そろ〜っと逃げ出そうとしたヴァンパイア礼士。

だが逃げ出す前に、ヒョイとヴァンパイア礼士の後ろ襟首に春子の右手が伸びていた。

「むう…駄目でござったか(ー ー;)」

「当たり前でしょ?そんな事ぐらいでだまされません!

ちゃんとしたヒントを、教えなさいっ!」

ハイハイ、といったふてぶてしい態度で春子の右手を自分の襟首から振りほどくと、腕組みをしたまま春子にこう答えた。
< 23 / 41 >

この作品をシェア

pagetop