♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~③
たえ子は、亮の顔を見て、亮の恐ろしいまでの決意を感じ取った。
無言ながらも、あたかも命をかけているかのような、険しく厳しい表情。
いざとなれば、自爆してでも自分の野望ー
自分の果たせなかった夢である、優勝すればかるたインターハイに出場出来る、今回のかるた大会に、従妹の美加を出場させる事ー
を阻止するつもりだった事を理解して、焦ったたえ子は、思わずうかつな発言をしてしまった。
「連帯責任にでもなれば、大会棄権どころか、今度はかるた部自体が…
あっ!」
とっさに口を押さえたたえ子だったが、すでに遅かった。
「うん?かるた部?
そう言えば君は確か去年、喫煙事件を起こしたかるた部の…
まさか、君…も?」
「…はい、かるた部です。
所で、こう言った場合、僕個人はともかく、今度のかるた大会には、他のかるた部員は、出場する事には差し支えがないんでしょうか?
僕は、それだけが心配で…」
「わっ、わざとらしい態度とってるんじゃないわよアンタ!
この学校の文化部はね、特にこう言った事には厳しいのよ!
二回目ともなれば、大会棄権どころか、かるた部の存続自体が…」
自分が過去に犯した過ちを棚に上げて、亮に噛み付いたたえ子。
他の亮のかるた部の先輩部員達も、動揺を隠しきれず顔が引きつっていた。
だが、そんな中でも一番顔をこわばらせていたのは、たえ子でも亮のかるた部の先輩部員でもなく、今日の今日まで亮に励まされながら、今大会優勝を目指して頑張ってきた美加であった。
「何故…何故こんな事に…
一体どうしちゃったのよ、谷本君!」
体育館の中で、方々でざわめきが起きた。
「また、かるた部?」
「でもわざわざ、今日みたいな日に問題起こすかねえ。
どうかしてるよ、この部は」
よほどだらしない部だな、と、連帯責任による、美加の大会棄権を含め、かるた部の存続自体も疑問に上げだした徳田先生。
たえ子を始め、どうしていいか分からずあたふたするかるた部員達。
初めはあきれ顔、そして次第に文化部に所属する生徒を中心に、亮はもちろん、かるた部に対しての非難の声。
そんな、様々な感情が渦巻く空間の中で、亮は独り、虚空の一点を見つめ続け、ぶつぶつとつぶやいていた。
「結ねえ…」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
僕が、結ねえを想うようになったきっかけは、歩道橋の上で、独り涙を流している結ねえの姿を見てしまった時からだった。
強気で、人前では一切、弱音を吐くことなく、悲しそうな表情を浮かべない結ねえに対して僕は、苦手意識があった。
家が近所という事もあって、小さい頃から結ねえが度々僕の家に遊びに来ていたけれど、正直一緒にいたくはなかった。
けれど、無理やり結ねえが僕を色んな遊びにつれまわすものだから、望まなくても、幼少時代の沢山の時間を結ねえと共有してきた。
そんな結ねえが、嫌で仕方がなかった。
でも、いつの日だったか?
たまに、自ら僕の前から姿を一時的に消す事があった結ねえを不思議に思い、見つからないようにつけていった事があった。
無言ながらも、あたかも命をかけているかのような、険しく厳しい表情。
いざとなれば、自爆してでも自分の野望ー
自分の果たせなかった夢である、優勝すればかるたインターハイに出場出来る、今回のかるた大会に、従妹の美加を出場させる事ー
を阻止するつもりだった事を理解して、焦ったたえ子は、思わずうかつな発言をしてしまった。
「連帯責任にでもなれば、大会棄権どころか、今度はかるた部自体が…
あっ!」
とっさに口を押さえたたえ子だったが、すでに遅かった。
「うん?かるた部?
そう言えば君は確か去年、喫煙事件を起こしたかるた部の…
まさか、君…も?」
「…はい、かるた部です。
所で、こう言った場合、僕個人はともかく、今度のかるた大会には、他のかるた部員は、出場する事には差し支えがないんでしょうか?
僕は、それだけが心配で…」
「わっ、わざとらしい態度とってるんじゃないわよアンタ!
この学校の文化部はね、特にこう言った事には厳しいのよ!
二回目ともなれば、大会棄権どころか、かるた部の存続自体が…」
自分が過去に犯した過ちを棚に上げて、亮に噛み付いたたえ子。
他の亮のかるた部の先輩部員達も、動揺を隠しきれず顔が引きつっていた。
だが、そんな中でも一番顔をこわばらせていたのは、たえ子でも亮のかるた部の先輩部員でもなく、今日の今日まで亮に励まされながら、今大会優勝を目指して頑張ってきた美加であった。
「何故…何故こんな事に…
一体どうしちゃったのよ、谷本君!」
体育館の中で、方々でざわめきが起きた。
「また、かるた部?」
「でもわざわざ、今日みたいな日に問題起こすかねえ。
どうかしてるよ、この部は」
よほどだらしない部だな、と、連帯責任による、美加の大会棄権を含め、かるた部の存続自体も疑問に上げだした徳田先生。
たえ子を始め、どうしていいか分からずあたふたするかるた部員達。
初めはあきれ顔、そして次第に文化部に所属する生徒を中心に、亮はもちろん、かるた部に対しての非難の声。
そんな、様々な感情が渦巻く空間の中で、亮は独り、虚空の一点を見つめ続け、ぶつぶつとつぶやいていた。
「結ねえ…」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
僕が、結ねえを想うようになったきっかけは、歩道橋の上で、独り涙を流している結ねえの姿を見てしまった時からだった。
強気で、人前では一切、弱音を吐くことなく、悲しそうな表情を浮かべない結ねえに対して僕は、苦手意識があった。
家が近所という事もあって、小さい頃から結ねえが度々僕の家に遊びに来ていたけれど、正直一緒にいたくはなかった。
けれど、無理やり結ねえが僕を色んな遊びにつれまわすものだから、望まなくても、幼少時代の沢山の時間を結ねえと共有してきた。
そんな結ねえが、嫌で仕方がなかった。
でも、いつの日だったか?
たまに、自ら僕の前から姿を一時的に消す事があった結ねえを不思議に思い、見つからないようにつけていった事があった。