囚われた瞳【琴子さんanother story】番外編2UP
今までどおり、SOLEILに掲載する写真を晴に依頼して、撮影に私が同行するという日々が続いた。

今日は、鎌倉の長谷寺に来ている。

4月に訪れた時はまだ蕾だった紫陽花が、次々と花を咲かせ本当に綺麗だ。

あの時、また工と来たいと願った事が、取材という形だけど現実になった。

「鶴岡八幡宮のご利益…本物だ」

紫陽花の咲き誇る小径を晴と歩きながら、思わずつぶやく。

「ご利益?」

サクサクと、撮影に集中していたはずの晴が、私の方を振り返る。

聞かれてた…

「じつは、ここにまた来たいって、あの時、鶴岡八幡宮にお願いしたの。本当に叶ったなって」

観念して白状する。恥ずかしい。

「驚いたな。俺も、あの時そうお願いしたんだ」

晴の耳が赤い。


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