囚われた瞳【琴子さんanother story】番外編2UP
胸の奥から、熱いものがこみ上げて来そうになり、グッと堪える。

泣かないと決めた。

次に流すなら、嬉し涙がいい。


今年のコトコトさんのお花見弁当も、可愛らしくて美味しそう。

でも、黄色のだし巻き卵を見れば、晴と取り合いっこした出来事が浮かぶし、菜の花の煮浸しを見れば、『えっ?花を食べちゃうの?』って、目をまん丸にして驚いてたレアな顔が浮かぶ。

そんな日々には戻れないんだと、現実を突きつけられ泣きそうになる。


食べられない。箸が進まないまま、ぼんやりと池を見つめる。


ブワッ!

突然、強い風が吹き付け、思わずスマホをきつく握りしめる。



ジャリ…

「美味しそうなお弁当なのに、食べないの?」

座ってる後ろから、声がかかった。




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