囚われた瞳【琴子さんanother story】番外編2UP
「凄い音と振動だった。でも、爆発が止んで、地上へ上がりたくても上がれないくらい深い穴でさ…何日いたか分かんないくらい、そこにいた」

じゃあ、私がご飯を食べたり、眠ったりしてる間も、晴は何も口に出来ないでいたし、一人ぼっちだったんだ。

「一人で…心細かったでしょう…」

ぎゅうぅ…と、晴を抱きしめる。


「何日か経って、地元の人に助けられたんだけど、スマホもパスポートも無くしちゃったし、足がさ…骨は折れてなかったけど、肉離れ起こしてて、歩けなかったんだ」

そう言って、晴は、傷めたという左脚をトントンとしてみせる。

「やっと治って、プノンペンの日本国大使館で、パスポート再発行してもらった。

なかなかの強運だろ?やっぱり、結衣にもらった御守りのおかげだな」

そう言って見せたのは、カンボジア行きが決まって、私が渡した災難厄除けの御守りだった。

「…っ、は…晴!」

晴をぎゅうぎゅう抱きしめながら、大泣きした。
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