囚われた瞳【琴子さんanother story】番外編2UP
けっして広くない店内をぐるっと見てみる。

大きめの木のテーブルの上に、大皿に盛られたコロッケや鯵のフライ、季節の野菜の煮物が並ぶ。

ショーケースの中には、牛蒡の甘辛煮や揚げ出し豆腐、菜の花の煮浸し、ひじきの煮物、そして荻野君と私が感動した、だし巻き卵が並ぶ。

「だし巻き卵!荻野君、だし巻き卵あるよ!」

お弁当に入っていたのは、このだし巻き卵のミニサイズだった。

だし巻き卵を二切れと、切り干し大根煮、ひじきの煮物を包んでもらった。

「毎日食べたいけど、平日は会社があるから、また来週に来ます」

残念そうに言う私に、琴子さんが、

「平日は、O町のここで出張お弁当屋をしてるから、良かったら来てくださいね」

手作りのチラシを手渡してくれた。

山陽出版は、K駅だから離れてるなあ。残念だな。


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