囚われた瞳【琴子さんanother story】番外編2UP
荻野君と、公園の駐車場へ戻る。陽が落ちると、少し肌寒さを感じる。

今日は、山陽出版の社用車で、ここまで来た。

「青山さん、空を見て。月が綺麗ですよ」

言われて、空を見上げる。

あっ、満月だ。雲一つない夜空を、満月が明るく照らす。

「本当だ。綺麗!今日は満月なんだね」

しばらく立ち止まって、満月を見つめる。

ふわり…

ふいに肩の辺りが温かくなる。

私の肩に、荻野君がカーディガンを掛けてくれた。

わずかにグリーンノートの香りがする。

無言で荻野君を見つめる。

「青山さん、少し肌寒くないですか?それ、着ててください」

「ありがとう」

荻野君に包まれてるみたい。

目を閉じて、ほんのひと時の幸せをかみしめた。


たぶん、私は荻野君が好きだ。


どんどん好きが降り積もる。


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