囚われた瞳【琴子さんanother story】番外編2UP
「この度は、ありがとうございます。また、いらしてくださいね」

女将と男の人に見送られ、菊水庵を後にする。


さて、この状況…

タクシーの後部座席に、岬編集長と私は並んで座っている。

岬編集長は、さっきから窓の外を見つめたまま、一言も発しない。

「………」

何か話そうにも、タクシーの運転手さんが聞いてるから、仕事の話はNGだし…うーーん……

「青山はさ…もっと、人を頼れ。青山が考えた特集だが、他のヤツに手伝ってもらえそうな事あるだろ?
今後は、周りのヤツを利用しろ。先輩だろうか関係ないから」

私のこと…心配してくれてる?

「はい…」

「青山は小さいし細いから心配だ。放っておくと、飯のこと忘れてそう」

はい。ありました。食べるの忘れたことあります。

「ありがとうございます。気を付けます」

やがて、私のマンションに着いた。

「岬編集長、ご馳走様でした。おやすみなさい」

「ああ。おやすみ」

私の頭の上に、ポンと手を乗せた。

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