囚われた瞳【琴子さんanother story】番外編2UP
「お昼は由比漁港へ行こうと思うんだけど、桜海老丼とか、かき揚げは好き?」

そろそろ昼が近い。

「桜海老!行きたい…今が旬だよね!」

「たぶん、並んでると思うけど、美味しいから頑張って並ぼう」

「うん!桜海老のためなら、頑張るよ」

拳を作る私に、

「クスッ…青山さんのその反応、堪らない…好きだな」

軽く握った右手を、口にあて控えめに笑う。

『好き』って……私の反応が…ね。




由比漁港に着くと、お店の前には予想どおり行列が出来ていた。

最後尾に並んで、順番を待つ。

磯の香りに、かき揚げの匂いが混ざって、待ち遠しい気持ちに輪をかける。

海風が少し冷たく感じる。

ふわり…

荻野君のジャケットが、肩に掛かる。

「青山さん、少し冷えるから、それ着ててください」

「あ、ありがとう」

荻野君の香りに包まれ、優しく抱きしめられてるような錯覚を起こす。

キュン…

また胸が苦しくなった。

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