青春はやってこない
頭が痛い。

疲れが溜まってるんだろう。

あたしはお店の奥の畳の部屋につくと膝から崩れ落ちた。

そんな時に限ってあいつの顔があたしの頭の脳裏をよぎる。

『 …杏奈』

やめて

『 俺以外の誰とも喋んなっつってんだろ!』

やめてよ、舜

『 俺のものだってすぐ分かるようにしねーとなぁ?』

あたしは項垂れるようにして畳に横になった。

左の二の腕、ちょうど真ん中あたり。

彼に付けられた傷はまだ癒えていない。


「──おい!杏奈ちゃん!!大丈夫か!?」

勢いよく駆け込んできた洋さんは倒れているあたしを激しく揺さぶった。

「…洋、さん、ごめんなさい、あたし…」

「何も言わなくていいから、な?」


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