青春はやってこない
「今日はもう帰って大丈夫だから、家帰ってよく寝た方がいい。」

とっても心配してくれてる洋さんの優しさに思わず涙が出そうになる。

「…ごめんなさい」

そんな彼にあたしは謝ることしか出来なくて、そんな自分の小ささに恥ずかしくなってくる。

「謝ることないさ、無理させてたのに気付けなくてごめんね…。
ゆみちゃんには後で連絡しとっから、落ち着くまでここにいてね。」

「…ありがとう、」

あたしがそれだけ言うと洋さんは安心したようにニカッと笑い「じゃ、俺店戻るわ」と言っていってしまった。

あたしのママ、由美子は世に言う水商売とやらをやっている。

女手一つであたしを育ててきてくれたママ。

いつもあたしとの生活のために呑みたくない酒も呑んで、臭いおっさん達の相手して、だけどあたしには嫌な顔一つぜず笑顔で『 大丈夫』って口癖のように言う人。

父親が誰なのかも、どこにいるのかも、なんで洋さんとそんなに仲いいのかも、何もかも教えてはくれないのだけど。

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