虹色ファインダー

それからも毎日授業が終わると公園に向かった私。

写真部の部活は週2だからその日だけは少し遅くなったんだけど。

毎日毎日、奏次郎は公園の芝の上に居た。
空を見たり、煙草を吸ったり、カメラをいじったりしながら。


私と奏次郎は毎日沢山の話をした。
カメラや写真の話。
遠い異国の話。
奏次郎の学生時代の話。

そして一つ、私が日課のように問うことがあった。


「どうすれば愛しく思える?」


繰り返されるその質問に、奏次郎は穏やかに笑むだけだった。
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