虹色ファインダー
・涙色
奏次郎はさっきまで腕の中に収めていた女性に、私のことを紹介した。
「こいつ、写真部なんだって。ここで仲良くなったんだ」
「松本綾香です……はじめまして」
私は精一杯さりげなく微笑んで見せた。
だけど笑顔を作るのは得意じゃない。
その人、あかりさんは私とは違って凄く自然に笑う。
奏次郎はその隣で、凄く優しい顔をしていた。
「俺、あかりと賭けをしてたんだ」
「賭け?」
「俺にずっと着いて来る覚悟があるなら、個展の期間中に会いに来いって」
あかりさん、覚悟したんだ。
奏次郎はここを離れるんだね、あかりさんを連れて。