【BL】先生のいいなりになんてなんねぇよ
「奥さんはどこかいい学校を出たんですか?」
広すぎる俺の家のリビングで行っている事前相談。
内容が違う方向にそれてきた。
「ええ。どうしておわかりになられたの?」
「雰囲気というか…気品があって美しい方だなと」
「んまぁ……///」
初対面の男にあっさり口説かれる母親を見て
気分のいい奴はこの世界に多分いない
。
人妻を口説くこと自体ありえねぇ。
真面目な俺には考えられない。
母親の隣で悶々としている俺をチラッと伺う家庭教師。
俺とバッチリ目が合ってちょっとうろたえてしまった。
何せイケメンなもんですから。
って!!俺は女かァ!
多少イケメンでも人妻口説くような
軽い男と目が合ってドキッ。
とか、気持ち悪いわ俺!
名前だけでなく頭まで女になったのか!?
家庭教師は俺を見てクスッと笑うと、
「お母様の息子さんがちょっと嫉妬してしまったようですね。もうお邪魔しなければ。それでは明後日からよろしくお願いします。では」
家庭教師は頭を下げるとすぐにリビングから出ていった。
誰が嫉妬だってぇ!?
そこまで母親好きじゃねーわ!
口には出さずに、家庭教師が出ていったドアをずっと睨み付けていた。