恋する想いを文字にのせて…
パステルカラーで描かれた海の景色が、一番最初に届いた時の感動と余計な過去を思い起こさせた。

故郷の海に向かって泣いたことを思い出し、思わぬ涙が溢れた。



この手紙は特別なんです……と彼女は言った。


ある意味、縁を取り持ってくれたのと同じ代物。


それを今直ぐに切り刻んでしまえる程、俺自身、強い人間ではないーー。



涙に暮れながら読み返した。


幼い頃からの宝物に出会えた喜びを綴った素直な文と美しい字に惹かれて返事を送り返した。




お互いが一方通行のままでいい…と思って書いた手紙。



その文字の中に想いを込めて送った日々を慈しみながら、夜は更けていったーーーー。





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