恋する想いを文字にのせて…
高校生だった頃の私は、いえ、もしかしたら今も……誰かに恋することを憧れていたんだと思います。

大きな川の走る田舎町の中で、優しい誰かと恋をして幸せになれると信じきっていた。

確かに恋には落ちたけれど、相手は優しくもなく、むしろとても酷い人間だったーーー。


後悔をしても始まらないことは、重々承知しています。

その人生の馬鹿さ加減を、今は冷めた気持ちで見ています。

これから先は自分の我儘を捨て、河原に転がる石ころのように、ただ流されて生きていきたい……。

そうすることで、何がしかの幸せに辿り着ければいいと考えているのです。



小野寺さんに会えたこと、お手紙を頂けたこと、これまでの10年間で一番嬉しい出来事でした。


…本当に心から嬉しかった。


お会いした時、ずっとこのまま時が止まればいいのに……と思いました。


書かれてあった文字と同じく、エネルギッシュな方だな…と感じました。


貴方の横で、私がどれ程ときめいていたかを教えて差し上げたかったくらいです。





ーーーでも、もう二度と会えない。

あの日ついた嘘を信じ込ませたままでいるのは忍び難くて、今回限りの便りを寄せさせて頂きましたが……。


返事は要りません。

これはきっと私の最後の我儘です。


貴方のことを想いながら手紙を書き綴ることは、今後一切ありません。

だから、どうかこれからもお元気でお過ごし下さい。


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