恋する想いを文字にのせて…
『来未さん、お便りありがとう。

君の長い文章は、毎日俺の心を癒してくれました。

特にあの力説していた漫画の話。

とても面白くて興味深かったです。次もあんな手紙が届くことを期待して待っています。』



「これって…批評…?」


頭を捻りながら続きを読んだ。

小野寺さんの手紙は、私が贈ったレターセットを使っていた。



『俺の方も相変わらずな日々を送っています。

オフィスに独り残り、黙々と仕事をする毎日は変わりません。

どうせ家では誰も待っていない。それなら仕事をしていた方が余程気が紛れて楽しい。

来未さんの手紙も読めるしね…と、それは家でも出来ることだったか……』


小さな笑みが溢れた。

小野寺さんらしい優しさを感じながら次の文章を目で追った。



『先日、津軽先生と電話で話す機会があって、その時に聞かれたんです。

「私に会わせたい人とはその後どうなったの?」と。

この間お会いしましたと教えると、「じゃあ間もなく会えるわね~」と喜んでおられたのですが…。


来未さんにも都合というものがあるだろうから、また連絡します…と言っておきました。

いつでも構わないと以前言われていたので、急に伺っても大丈夫だと思いますが、出来れば少し早目に教えて頂けると助かります。

俺の仕事の都合もつけやすいし、アポ取りも楽だから。』



「そうよね…」


手紙に向かって独り言を呟いた。
壁に掛かったカレンダーを見つめ、再来週なら何とかなりそうだ…と判断した。


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