恋する想いを文字にのせて…
わざとドアを閉めようとする。
そのドアノブを外側から握りしめ、「まだ大丈夫です!!」と引っ張り直した。



「あらそう。残念だわ…」


本当に残念そうな顔する人に仏頂面を向けて中へと入った。
ドアを閉めると同時に、萌子さんは津軽先生を呼んだ。



「芽衣ちゃ〜ん!来られたわよ〜〜!」


高めな声は掠れながら奥へと響く。
廊下の奥からは「はーい!」という返事が聞こえてきた。


肩に力の入った最上来未の体が、きゅっと一回り小さくなった。

パタパタ…と走ってくるスリッパの音に、耳をすませているみたいだった。





「ようこそ〜!お待ちしてました〜〜!」


語尾をダラダラと長引かせながら先生は小走りしてきた。

紫色のレンズカラーの眼鏡をかけた人は、白いロングエプロンを身に纏っていた。


最上来未は先生を見るなり、自分の手で口を覆った。

横から見えている目元は、大きく見開かれていた。


黒っぽいグレーヘアの津軽先生は、彼女に向かって手を差し伸ばした。



「初めまして。津軽芽衣子です」


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