来い、恋。

ぶっちゃけて言うと、私は恋愛したことがないんだと思う。
確信が持てないのは、つい2ヵ月前までいた彼氏のことを、私はちゃんと好きだった筈だから。


それなりにときめいた気がするし、キスだって、それ以上だって。なのに最後は
｢薺に愛されてるか分からない｣
なんて言葉を吐かれてポイ。


もう、意味が分からない。
愛ってなによ。コノヤロウ。


｢いや、だってね、八島君と、薺、冷めきった熟年夫婦みたいだったもの。｣


振られたその日の夜、大学近くのファミレスでのこと。
愚痴を聞いて貰おうと咲和を呼び出したものの、ヤツの言い分もコレだ。

…冷めきった、って。私の中では別に冷めてなかったよ。…多分。


｢…ちょっと、聞いてる？！、だからっ！薺の恋愛は刺激が足りないの！｣

私がボーッとしていると、咲和は興奮気味に言っていた。
そして咲和は、私の口元当たりを指さしながら、ジッ、と私を見た。


｢薺。貴女、八島君に好きって言ったことあった？｣


｢ええ？無いなー｣


躊躇なく、そう言い放った私に、ほれみたことか、と咲和は両肩を持ち上げた。


｢そこよ、そこ。そこがおかしいのっ｣