Pathological love
「とにかく、混ぜればいいのよね?」
私は、拙い動作で、生クリームを混ぜ始めた。
所が、何時までたっても生クリームはクリーム状にはなってはくれない。
「どうしよう………これで合ってる筈なのに………。」
泣きそうになりながら、生クリームを混ぜていると、チャイムが鳴った。
「令子ちゃ~ん。ちょっと出といてくれる?」
「は~い!!」
(もぅ~………!そんな暇ないのに!!)
苛立ちながらも、事務所の扉を開けると、そこには思いも寄らない人が立っていた。
「連理?!!………どうして………。」
「驚いている暇は無いだろ?作るぞ。」
「えっ?」
「使えそうなの買ってきたから。」
ビニール袋を掲げて見せると、連理は私の返答を待たず、腕を引いて中に入っていった。
「まずいよ連理……京子さんの許可を得ないと!!」
「バレなきゃ大丈夫だって。バレたらその時は上手く言うし、バレなきゃそのまま作り終えたら帰るから。」
「でもっ!!」
パニクる私を、連理は一旦キッチンの椅子に座らせると、その前にしゃがみ込んだ。
私に目線を合わせると、膝の上の手を握った。
「落ち着いて……きっと上手く行くから………俺を信じろ。」
真剣な彼の瞳を見て、私は漸く我に返った。
「………分かった。お願いします!」
「よし!取り敢えず、どこまで手をつけたんだ?」
「フルーツのカットは終わって、今、生クリームを泡立てているんだけど、中々クリーム状にならなくて………。」