Pathological love
カーテンの外が薄っすら明るくなってきたのを確認して、私は、上半身を起こした。
するりと落ちたブランケットは、友の心配りだろうと、少し暖かい気持ちになる。
昨夜の事は、全部覚えていた。
散々泣いてうさを晴らしたのか、意外な程気分がいい。
私は、軽く周りを片付けると、書き置きをして、玄関に向かった。
「よし………しっかりしなきゃ。」
頬を両手でパンッと鳴らすと、痛みが目を覚まさせてくれた。
最近買って、まだ慣れないハイヒールに足を入れる。
鈍く伝わる、久し振りの痛みに絶えて歩き出すと、痛い筈なのに、何だか少し胸が弾んでいる自分がいた。
誰かを好きになると不思議だ。
何もかもが興味をそそられ、いつもの風景がキラキラ輝いて見える。
ずっと、忘れようとしていた世界は、こんなにも鮮明で色とりどりのモノに囲まれていたんだと実感する。
帰り道、私は携帯を取り出した。
いつもとは違う場所で掛けてみる。
3回呼び出すと、留守電に切り替わった。
「もしもし…お母さん?………私、令子。お母さんに謝らなくちゃいけない事があるの。………………………………………やっぱり、ごめん。また、今度にする。…………じゃあね。」
自分の気持ちに気づいたのはいいのだけれど、私はどうしたらいいのか全く分からなかった。
連理とは、協力者とゆう形で婚約した。
お互いの恋愛には口を出さないとゆう約束だし、そもそも連理が私を選んだのだって、好きになら無い相手として認定されていたからだったのに、今更、好きになったなんて言ったら、きっと、私達の関係は破綻してしまうだろう。