Pathological love
今までの満たされた生活が無くなると思うと、私の心は一気に頼りなくなった。
鍵を開けて部屋に入ると、いつもの様に愛猫を呼ぶ。
「ぼんちゃ~ん、ジリ~…令ちゃんが帰ったよ~…出ておいで~………。」
いつもだと少し間を空けて、のこのこと出て来る筈なのにどちらも一向に出てこない。
急に不安になって、呼びながら小走りにリビングに入ると、目の前に広がる光景に息を呑んだ。
「令ちゃん、おかえり~…。」
「なっ何してんのっ?!」
ソファーに寝転んだ連理。
その上には、ぼんとジリが乗っかっている。
当の連理も、部屋着ですっかりリラックスモードだ。
「窓開けっぱなし~…無用心だぞ。」
「えっ!嘘っ!!」
「昨日、何で携帯出なかったんだよ。折角、お祝いしようと思って、準備してたのに………。」
「ごっごめん!!ちょっと、………私…用事があって………本当ごめん!!」
「別にいいよ。どうせ俺なんて、大した事してないし…ね……。」
いじけた様に私に背を向けて、何故かベッタリのぼんとジリを抱き締めている。
「ごっごめん。謝るから機嫌…直して?」
「…………………。」
「ねぇ、本当にごめん。」
近くに寄って、背中に手を掛けると、振り返った連理に、急に手を引っ張られた。
「わぁっ!!」
体勢を崩した私は、その拍子に連理の胸の上に覆い被さる。
「ははっ………騙されたー!!」