Pathological love

今まで触れる事なんて何とも思わなかったのに、自覚した途端、こんなにもドキドキと胸が高鳴る。


「なっ何っ?!」


「俺を無視したお仕置き~…。」


近距離でイタズラっぽく笑う彼に見とれて、次の言葉が出て来ない。

見つめたまま固まってしまう。


(早く、何か言わなきゃ………ー)


連理は私の乱れた髪をゆっくり梳いて耳にかけると、優しく笑いかけた。


「一週間よく頑張ったな…?偉い…偉い………。」


まるで、ぼんとジリを撫でるみたいに、頭を何度も撫でられる。

私は、誰に褒められるより嬉しさが込み上げて、それと同時に涙が零れた。


「案外…泣き虫だな………。」


連理は私の頭をそのままそっと押して、自分の胸の上に乗せると引き続き頭を撫で始めた。


「仕事好きなのは分かるけど、頑張り過ぎんな。」


ドクンッ………ドクンッと彼の鼓動が聞こえてくる。

恥ずかしいけど、安心できるその音に、私は、聞き入ってしまう。


「………うん。」


「好きなだけ泣いたら、今日こそはお祝いするぞ。お前の所為で冷蔵庫パンパンなんだからな!責任取れよ?」


「………うん……ありがとう。昨日も助けてくれて、ありがとう。いつも美味しい料理…ありがとう。」


「ちゃんと分かってるなら、よろしい。」


「それにしても、お前んちの猫………警戒心無さ過ぎじゃね?」


二匹の猫は今もまだ、連理の腕や脚に絡まる様にして、落ち着いている。


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