Pathological love
「うわ!この時間帯、混むんだぁ~。座れるかな?」
「週末だし、仕方無いですよ。取り敢えずカウンター行きます?一杯だけでも飲んで、席が無いようでしたら他行きましょ!」
『は~~い!』
こんな時、美保ちゃんは、年下の癖に妙に機転が利く。
周りの意見も聞きつつ、皆が納得するような提案で上手く纏めてくれる。
酔っ払い達は、ただそれに従うだけだ。
「いらっしゃいませ、水川様。そちらは………本田様ですよね?お久し振りです!」
「一回しか来ていない私の事、覚えていたんですか?」
「桐島さんと一緒に来られましたよね?ちゃんと覚えています。私にとって、ご来店して頂いたお客様は、全て大事なお客様ですから。」
オーナーの綾野さんは、相変わらず柔らかく妖艶な微笑みで、ニッコリ笑った。
身体の線も細いので、まるで、綺麗な女の人の様にも見える。
「今日は女子会ですか?あちらのテーブル席にご案内しましょう。」
「ありがとうございます。」
案内された席は、程よく仕切りがあって、落ち着けるボックス席だった。
「こんな所もあったんだぁ~……いいね。」
「はいっ!席もふかふかで落ち着きますぅ~…。」
穂純ちゃんは、もう、ベロベロでなんか可愛くなっている。
余裕でお持ち帰り出来るレベルだ。
「カクテルは、オーナーのお任せでお願いします!」
「かしこまりました。お嬢様方。」
品よくお辞儀をすると、綾野さんは笑顔を残して戻って行った。