Pathological love
「はぁ~………私達も、そろそろお開きにしますか。」
「そうね………。」
すっかり目が覚めたような私達は、また飲む約束をしてAlternativeを後にした。
駅からの帰り道、夜空を見上げると、小さな月が照らしていた。
「結構、月って明るいのね………。」
フラフラと千鳥足で歩いていると、あの日の夜を思い出した。
男達に襲われた時、助けてくれたのが………連理だった。
あの時から、私達の何かは繋がり始めた。
たとえ結ばれない運命だとしても、あの人に出逢えた事に感謝したい。
もう一度、誰かを好きになる事が出来ただけで、私にとっては奇跡みたいな事だから………。
「あ~~あ、何か今日は気分いいなぁ~………。」
もう少しでマンションに着く頃と、人気のない住宅街を歩いていた時だった。
前方の曲がり角から人が飛び出して来た。
小走りに走りながら、遠くからこっちへ向かってくる。
薄暗がりで、顔は見えない。
急に襲われそうになった情景が脳裏に過った。
一気に手足から血の気が引いて、冷たくなっていくのに、
手の平だけはじっとりと湿っていく。
襲われる事を想定しながら身を固くして、なるべく目を合わせないように道の端に寄っていると、すれ違うと思われていた人が、急に方向を変えて向かって来た。
(やだ!何で?!)
黒い影が覆い被さろうとした瞬間、私は腰が抜けたのか、その場に崩れ落ちた。