Pathological love
10. jealousy
自宅の玄関に鍵を掛けて、私はその場にへたり込んだ。
ハイブランドのお気に入りのスカートが汚れても、そんな事は全く頭から飛んでいた。
玄関の扉に背中を預けながら、片手でそっと唇に触れてみる。
ドクンッ………………ー
思い出したかの様に、唇は熱を持ち、心臓は大きく脈を打った。
一体どうしてあんな事になったのだろう………。
あの時、彼は、どうゆうつもりで私を………………ー
「で、あんたは………どちら様?」
連理は私を一瞥した後、何も答えず、斎藤さんを挑発するように睨んだ。
「急に割って入って来て、名乗りもしない奴に答える義務は無いと思うけど?」
斎藤さんは余裕の表情で、連理を往なした。
「はぁっ……?!薬指に堂々と指輪を付けて紳士ぶっても、格好付か無いと思うけど?」
「私達の事は、君には全く関係ないよ。それより、君の連れが困っている様だけど、放って置いていいのかい?」
よく見ると、連理の後ろには若くて綺麗な女の人が立っていた。
こんな所に、こんな時間に二人で居るって事は、きっとそうゆう事なのだろう。
分かっていたけど、この状況で見るのは辛い。
私の胸は、ズキズキとバカ正直に、痛み出した。
「秋山さん………そちらの方々と、お知り合いなんですか?」
高くて可愛らしい声に、コンプレックスが疼く。
連理の腕に絡める腕も、見つめる熱い眼差しも、私には許されない事だと思い知らされている様で、胸の痛みはより一層強くなった。