Pathological love

「それこそ、あんたには全く関係無い事だろ?」


まるで、自分のテリトリーを侵された獣の様に、彼は敵意を剥き出しにする。


「連理!もうやめてっ!!ちゃんと話そ?…ねっ?」


私の声もまるで、届いていない様だ。


(このままだとダメだ。)


「斎藤さん、すいませんけどこのルームキー貸してください!!」


「令………もしかして、彼が………ー」


斎藤さんが私に近寄って、そっと耳打ちしたその時だった。

私は、伸びてきた腕に掴まれ、強く引き寄せられた。


「痛っ…!」


私を斎藤さんから引き離し、今にも殴り掛かりそうな勢いだ。


「ちょっと来てっ!!」


力いっぱい彼の腕を引いて来た道を戻る。

去り際に斎藤さんを目で捜すと、困った様に微笑んでいた。

きっと、勘づいたのだろう。

私の思い人だと…………。





元来た部屋へ逆戻りした私は、彼の無言の背中を前に、弁解しようと必死だった。

なんて言い訳しても、結局は斎藤さんと私は、そうゆう関係だった事には変わりは無い。

私はどう言えばいいのか、正直言葉に詰まっていた。


「連理………あの………さっきの人は………何てゆうか…ー」


ダンッ!!!


急に振り向いた連理に肩を掴まれ、私は近くの壁に押し付けられる。


「あの男が噂の不倫相手なのか?まだ、続いてたのか?」


不倫じゃ無いと、口走りそうになったけれど、そんな言い訳は通用しない。

理由はどうであれ、私は確かに不倫をしていた。


「否定はしない。でも、それがどうかした?お互い利益の為の婚約だけど、恋愛はフリーでしょ?あなただって、綺麗な女性と一緒に居たじゃない?何をそんなに怒っているの?」


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