Pathological love
夜の街を、俺は走った。
何処かに行く目的も無く、ただ、ただ、俺は、街をさ迷っていた。
今しがた、自分が取った行動が信じられなくて、俺はすっかり混乱状態。
彼女とはそうゆう関係になってはいけないと、ずっと思っていたのに。
「………………何やってんだよ………俺は…………。」
立ち止まり、深い溜め息をついた時だった。
不意に一つの看板が目にとまった。
「黒木結婚相談所………。」
辺りを見回すと、全く来た事の無い場所で、引き返そうと、踵を返すと、天から聞き覚えのある声が降ってきた。
「もしかして、私に会いに来たんですかぁ~?」
驚いてビルの上の方を見上げると、窓から手を振る男がいた。
「………黒木…さん………?」
「もう、今日は上がりなんです。一緒にお茶でも如何ですかぁ~?」
ニッコリ笑って、黒木さんは、俺を見つめている。
まるで、全ての事情を知っているかの様に。
不思議な巡り合わせに、俺の足は無意識にビルの入り口へと向かっていた。