Pathological love
俺は、誘われるまま彼の所へ向かったが、ずっと気になっていた。
黒木さんは、どうして結婚相談所の窓から手を振っていたのか。
その上の階は、看板の明かりは消えていたが、黒木病院の文字が見えた。
同じ黒木だから、親戚の誰かが経営してるのだろうか?
俺は色んな疑問を抱えながら、やっとその場所へ到着した。
“黒木結婚相談所”一生こんな所にはお世話になることは無いと思っていたのに、人生分からないものだ。
ガラス張りの扉をゆっくりと開けると、パタパタとスリッパの音がして、黒木さんが出てきた。
「お久し振りです………秋山さん。どうぞ、中へ。」
彼の後を追って、通された部屋は何もかもが綺麗に整えられた部屋だった。
ゴミ一つ無く、汚れ一つも無い完璧な部屋。
少し落ち着かない印象を受けながらも、促されてソファーに座る。
「名乗らなかったのに、俺の名前を知っていたんですか?」
「あなたの事がずっと気になっていたので、自然と名前を覚えたんです。連れの女性がよくあなたを“秋山さん”とか“連理”と呼んでいたので。」
微笑を浮かべながら話す黒木さんは、どうやら、俺の女性事情にも詳しい様だ。
「ははっ…女にだらしない所も、すっかり見られていた様ですね。」
「いいえ。女性にだらしないんじゃありませんよ?あなたは人より多く欲しがっているだけです。別に複数の女性とSEXがしたい訳じゃない。」