Pathological love
「先生…よかったんですか?まだ、話の途中なのに………。」
黒木は口許に少し笑みを浮かべながら、お気に入りの万年筆を弄っている。
いつもの何かを考えているポーズだ。
「……えぇ……どうせ人は自分で体験しないと、他人の言葉は信じられない。遠回りかもしれないけど、一度間違わないと方向転換出来ないし、真実を見つけられないんだよ。」
「一度間違わないと…………ですか?」
「そうだよ。」
「あの方には、酷ですね。」
「素直になれない彼が悪いのさ。」
黒木は、意地悪そうに微笑んで、万年筆を胸ポケットへと閉まった。
「先生……またそんな事言って。」
「冗談だよ。」
「また、先生に会いに来るでしょうか?」
「来るよ………必ずね。懸けるかい?」
「いえ、結構です。先生のその顔は、自信がある証拠ですから。」
「ハハッ…それは残念。君が勝ったら、何でも言うことを聞いてあげようと思ったのに………。」
「えっ!?何でもですか?」
何を考えたのか、白金の頬がほんのりピンク色に染まった。
「君も結構、顔に出るタイプだね?素直が一番の武器だよ?」
「えっ?先生もしかして、からかったんですか?!酷いです!!」
白金が騒いでいる中、黒木はポツリと小さく呟いた。
「要するに………あなたは極度の寂しがり屋なんですよ………秋山 連理さん………。早く気づかないと大事なモノを無くしてしまいますよ……。」