Pathological love
「子供が出来ない連理の母親は、最初こそ赤子の連理を大事にして、我が子の様に育てていたんですが、ある時から彼に興味を示さなくなり、目も会わせなくなった。」
「どうして………そんな…。」
「本当の母親によく似ているそうです。彼奴が笑いながら言っていました。写真を見たことがあるって。それで、分かったそうです。どんなに頑張って気に入られようとしても、この顔でいる限り無駄なんだって。」
子供の頃の連理の気持ちを思うと、胸が押し潰されそうになった。
どんなに必死になって、頑張ったのだろう。
それなのに、その努力は無意味な物だと突きつけられた瞬間。
大好きな人に、永遠に受け入れて貰えないとゆう現実を知った。
その全てが今の彼を形作っているんだと思うと、歪な愛も当然の様な気がした。
「本当に酷いわよね。自分達の都合で引き取って置きながら、似てきたからって放置するなんて。」
「家に帰ってもテーブルの上にはお札が何枚か置いてあり、独りでご飯を食べる様になったそうです。俺はたまに家に呼んで、一緒にご飯を食べたりしてました。その内一緒にデザインの仕事に興味を持った俺達は、アメリカへ留学して京子さんの生徒になりました。あの時は楽しくやっていたんです。でも、俺が…その………」
「フフッ…私を好きになったんでしょ?」
恥ずかしげもなく京子さんは奏也さんに語りかける。
「っ?!いや!あの………そうです………。俺は初めて京子さんの作品を見て、夢中になってしまいました。それで、俺は大学を中退して、京子さんのデザイン事務所の立ち上げに着いて行く事にしたんです。日本に帰った途端、連理とは、音信不通になってしまって………。」