Pathological love
「連理の事を分かっていた筈なのに、今度は俺が彼奴を独りにしてしまった。俺に怒っているんです。だから、日本に戻っても、連絡を寄越さなかったんだと思います。」
いつもは表情の乏しい奏也さんが、酷く悲しそうな顔をして俯いた。
「奏也………思い詰めるのは止めなさいって、言ったでしょ?人生は皆それぞれなんだから、ずっと一緒に居る事は出来ないのよ。」
「………分かってます。………令子さん、彼奴の事が好きですか?本気なら、彼奴を救ってやってください。このままじゃ、いつか壊れてしまう。そんな気がするんです。」
「……………。」
私は、何て言っていいのか言葉に詰まってしまった。
初めて連理の過去を知って、益々彼が愛おしく思ったのは事実だ。
でも、今日は色んな事が起き過ぎて、自分は一体どうしたいのか分からなかった。
「令子ちゃん?」
「あの………私………少し考えさせてください。」
こう答えるのが、今の私には精一杯だった。