Pathological love
11. real feelings
家に帰ってきてから隣の様子を伺っていたけれど、帰って来てる気配は無かった。
今頃、泊めてくれる女の人の所に居るのだろう。
想像するだけでチリチリと胸は痛む。
いつもの様に電話しようと携帯を取り出すと、マナーモードにしていた携帯は、知らない番号の不在着信で埋まっていた。
誰の番号かは容易に想像できる。
「徳永さん…………。」
私の携帯に、消せずに残っている番号とは違う新しい番号がそこにあった。
「はぁ~…………私にどうしろって言うの………。」
シーンと静まり返ったリビングのソファーに腰掛けると、二匹の猫が足にすり寄ってきた。
「にゃ~………。」
「あんた達のお気に入りの人は、今日は来ないわよ。」
「にゃ~…………。」
「何よ………私が居るからいいでしょ?」
二匹はちょこんと座って、アイスブルーの瞳で私を見つめる。
「分かってるよ…………白状するから。」
「にゃ~………。」
「………………寂しいね。」
「にゃ~………。」
二匹の猫はソファーに登ると、私にピッタリくっついて喉を鳴らした。
「フフッ………もしかして、慰めてくれてるの?」
愛猫とじゃれ合っていると、着信音が鳴り響いた。
「連理?!」
急いで携帯画面を見ると、あの見知らぬ番号。
観念して手に取った。
「はい………水川です。」
「ああ………やっと出てくれた。俺だよ。」
「徳永さん………どうしたんですか、こんな遅くに。」
「そんなに、邪険にしないでくれよ。ちゃんと話がしたい。」