Pathological love
「何なんですか?私達はあの時、もう終わってるんです。今更何を話すって言うんですか?」
「君がそう、感情的になるって事は、まだ俺の事気にしている証拠だろ?」
「別に気にしてなんかいません!」
「じゃあ、一杯付き合ってくれよ。何とも思ってないなら、平気だろ?」
「………………分かりました。何処に行けばいいですか?」
「クリスタルホテルに部屋を借りてる。フロントには伝えておくから、部屋まで来てくれないか?」
「分かりました。」
クリスタルホテルと聞いて、嫌な記憶が頭を過ったけれど、自分の気持ちを確める為に、向かうことにした。
「逃げていたら、何も解決しない…………。」
考え込む前に、バックとコートを掴んで、私は、玄関を飛び出した。
高級感溢れるクリスタルホテルの一室。
私は、久し振りにかつての恋人と向き合っていた。
「令は変わらないな。………いや、前よりずっと綺麗になった。」
「お世辞は結構です。話って、何でしょうか。」
「フフッ………冷たいなぁ。」
徳永さんはリラックスした雰囲気で、シャンパンのボトルを開けると、私の前に置いたグラスに注いだ。
「ここのシャンパンは美味しいよ。飲んでみて。」
シャンパンには目もくれず、私は、徳永さんを見続けた。
久し振りに見る彼は、目尻に少しだけ皺が出来たくらいで、当時とあまり変わっていなかった。
大人の男性特有の優しい雰囲気で、時折、悩ましげな瞳で見つめてくる。