Pathological love
(…………俺は、一線を越えてしまったのか………?)
そんな事は許されない。
令子とは、ずっと一緒に居たいと思っている。
そんな風に思える他人は彼女が初めてだった。
だからこそ、男女の関係になってはダメだ。
また俺の悪い癖が出てしまったらと考えると怖くなった。
昔から、好意を向けられて、それなりに深い仲になると一気に熱が冷めてしまう性分だった。
どんなに自分のタイプで、手に入れようと躍起になっていたとしても、その対象が服従した瞬間、全てが色褪せて要らない物に見えてしまう。
“ヤッパリコレモ、オレガサガシテタモノジャナイ”
頭の中にその言葉だけが響く。
彼女とは、絶対にそんな終わり方をしたくない。
(令子を女として見てはダメだ………。)
俺は自分に言い聞かせる。
以前の様に、二人でご飯を作って、くだらない話をして、笑い合いながら、毎日変わらない日々を過ごしたい。
それだけでいい。
それ以上は望まない。
「ずっと、料理作ってないな………。」
そっと隣に寄り添うと、彼女は寝惚けて俺の胸に擦り寄ってきた。
無意識に伸ばそうとした手を引っ込める。
勢いでキスしてしまったあの日から、俺の彼女に対する見方は変わってしまった。
一度スイッチが入ると、自分の中の欲望が顔を出し、彼女を狙い、感情がコントロール出来なくなってしまう。
令子にはこんな醜い自分は見せたくない。
「暖かくて………また眠くなりそうだ。………目が覚めたら謝ろう、謝って………また、前の………関係に…戻り…………たい。」
俺はまた、目を閉じて現実逃避の闇に堕ちていった。
目覚めた時、二人の関係が元通りになるとゆうあり得ない現実を願って………。