Pathological love
「さて、今日はどう言ったお話でしょうか?」
「あっあのう………以前黒木さんが仰った言葉に甘えてもいいでしょうか?」
「?」
「何かあったら相談にのってくれるって言ってくれましたよね?」
「あぁ!その事ですか………。」
思いの外薄い反応に私は急に恥ずかしくなり、席を立った。
「すいません!!社交辞令を本気にして、こんな所まで来てしまって!私、帰ります!!」
一礼して、ドアに向かって一歩を踏み出すと、後ろから声を押し殺したような笑い声が聞こえてきた。
「クックックッ………待ってください!…すいません!!違うんです!!」
「どっ…どうして笑うんですか?!」
呆気に取られて呆然としていると、黒木さんは私の前に立って行く手を遮った。
「あなたに頼りにされて嬉しくて、つい笑いが込み上げてしまいました………本当にすいません。私は少し変わっているようで………よく注意されるんです。気にしないで下さい。」
黒木さんの言葉に半信半疑のまま、私は無理やり納得して、ソファーに戻った。
「じゃあ、ちゃんと聞いてくれるんですね?」
「はい…是非。」
少し強めの口調になってしまったけれど、黒木さんは相変わらずニコニコして、私を興味深げに見ている。
まるでその瞳は私を観察している様だ。
「婚約者の秋山さんの事なんですけど………。」
(えっと…何て言えばいいんだろう。何か上手く遠回しに言えないかな?)