Pathological love

「ふ~…ん。そうなんだぁ?それならそれでいいんだけどさぁ。ねぇ…私まだ、聞いて無いんだけど………。」


「はぁ?何が?」


「だから~。ただいまって言ったら、普通返す言葉があるでしょ?」


下から見上げる彼の顔が見る見る赤く染まってゆく。

私は、可愛くて仕方がなかった。

本当なら今すぐ抱き締めたいくらい母性本能をくすぐられる。


「何っ?今更、別にいいだろ?!早く飯にするぞ!」


逃げようとする彼を壁に追い詰め、気づけば逆壁ドン状態。


「親しき仲にも礼儀ありよ?これからはちゃんと言い合いましょ?私達はパートナーなんだから。」


詰め寄る私に耐えかねたのか、彼は片手で目の辺りを覆い隠した。


「分かったから、言うから………少し離れて。」


「はいはい。」


指の隙間から少し目をチラつかせて、真っ赤な彼が言う。


「………お…かえり。」


「ただいま。」


“最後に一つ、女性にとって笑顔は最大の武器ですよ。”


先生の言う通り、自分に出来る最高の笑顔で彼にとどめをさそう。

そうすれば、彼の顔を覆っている邪魔な手もいつか外れる時が来るでしょ?


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