Pathological love
「恥ずかしがらなくてもいいでしょう?婚約となれば、いずれは結婚するんだからいつ子供が出来たって構わない訳だし、女性は今のうちから身体の調子を整えなくちゃいけないんでしょ?」
コーヒーを飲みながら、当然の様に山川くんは聞いてくる。
事情を知らない人から見れば、私の禁煙はその様に映るのはごく自然な事なのかも知れない。
「ま………まぁそうだけど………。」
「あれ?また何かあったんですか?何かいつもこの手の話をすると、顔色が曇りますよね?僕でよければ話、聞きますよ?」
相変わらずの王子スマイルで私を見つめる彼は、余りにキラキラ過ぎて、胡散臭い。
他の子達はこの笑顔にやられるらしいけど。
口が固い事は長年一緒に仕事してきて、よく知っているから、少しぐらい意見を聞くのはいいのかも知れない。
「………深く勘ぐらないでよ?」
「了解!」
山川くんはわざとらしく敬礼して見せた。
どんなポーズも一々様になるから嫌になる。
「人にされて嬉しい事ってどんな事だと思う?」
「それは、僕がって事?それとも一般的に?」
「う~…ん。一般的でもいいし、参考になるなら個人的な意見でもいいけど。」
「う~…ん。そうだね~………友達とか恋人とか家族とか相手によっても違うけど、誰でも当てはまる事なら一番簡単なところで感謝の言葉かな?“ありがとう”はやっぱり誰に言われても嬉しいし、一番ハードルが低くて言いやすいと思う。」