Pathological love
2. dual nature
夜11時を過ぎてやっと家に着いた。
今日の打ち合わせは結局話が進まなくて、結果ストレスばかり溜まるものとなった。
おまけに他の案も考える様にと、次回の打ち合わせまで持ち越すことになった。
「はぁ~…今日は本当についてない………お腹空いたぁ。」
バックを探って新しい鍵を取り出す。
無くした鍵はなんとか日中に業者に交換して貰って、無事家に入る事が出来た。
ヘトヘトの体に最後のムチを打ってお風呂に入り、お気に入りのモコモコのルームウェアに着替える。
女の子らしいパステル系の物に溢れた部屋で、自分もまたその一つになると、何とも言えない幸福感と安心感に包まれた。
中でも一番のお気に入りはスノードームで色んなモチーフを集めては飾っている。
会社の同僚に見られたら、きっとイメージと違うと笑われてしまうかも知れないけど、私にとってこれが最高のリラックス出来る空間なのだからどうしようもない。
携帯と買い置きのチューハイの缶を持って、ベランダの窓を開けて、いつもの場所に座る。
「…………もしもし、お母さん?…今、お風呂入って来たよ。今日は色々あって疲れちゃった。分かってるよ………近々昇進の話出てるから安心して………じゃあね…おやすみ………。」
毎日の日課を終えて携帯を置くと、グイッとチューハイを煽った。
「さぁ~て、ここからがお楽しみの時間~。」
キッチンから大きめの箱を取り出すと、ベランダに持っていく、中から出てきたものはミニの焼き鳥焼き機。
最近、買うだけじゃ飽き足らず自宅でも出来立てが食べたくて、とうとう買ってしまったのだ。
お一人様には丁度いいし、全く料理が出来ない私は、仕事が忙しくて外食出来なかった日などに、もっぱらこのセットが登場する。
「焼き鳥も乗せて準備OK…っと。」
焼き機が温まるまで、ベランダで火照った体を冷ましているとフワフワしたものが足にすり寄って来た。
「ボンちゃん?どこに隠れてるのかと思ったらリビングに居たのね?ジリはまだ寝てるの?」
横になってじゃれていると、もう一匹が顔の横にくっついて座った。