Pathological love
友はあやしながら礼音に話し掛けると、彼は無邪気に声を立てて笑った。
「令ちゃん…私ね、この笑顔があるから頑張れるだぁ~…。」
礼音を見つめる友の顔は、優しい母の顔そのものだった。
本当ならどんな子も、母親からの愛情を受けられる資格があるのに、色んな現実が邪魔をして、寂しい子供が出来上がってしまう。
私が連理の母親だったら、いっぱい愛情を注いであげられたのに……なんて無責任にも思ってしまう。
彼の母親だって、愛人の子を育てると決めるまで、相当苦しんだろう。
そして今尚、お互い傷つけ合って苦しんでいる。
「ねぇ友…母親から子供に愛情を伝えるには、どうしたらいいと思う?」
「ん~…そうだねぇ。私の経験上だけど、二人でいっぱい遊んで、いっぱい笑って、いっぱい抱き締めたらいいと思うな。私にはそれくらいしか出来ないし。でも、精一杯頑張っていれば伝わるはず。」
友はそう言って、礼音をぎゅっと抱き締めた。
礼音は、苦しそうに“う~ん”と唸ると友の顔をぐっと押した。
「たまにウザがられるけどね!」
「フフッ!本当だ!嫌そうな顔してる。」
友がゆっくりと立たせて、手を離すと礼音は空かさず友に抱きついた。
「嫌がられて叩かれても、結局は抱っこがしたいんだよね~れおくん?ママが好きなんだよね~!!」
二人の微笑ましい姿を私はずっと見ていた。
この幸せを少しでも彼に教えてあげたかった。
あなたも、幸せになる資格はあるんだと分かって欲しい。
現実は甘くないかも知れないけれど、どんな親だとしても子供を愛していない親なんていないと思いたい。