Pathological love

「ねぇ、連理?今度の休み買い物に行かない?欲しい物があるの。」


「別にいいけど、何が欲しいの?」


「それは、秘密。じゃあ、約束ね!」


そんな会話を5日前のいつもの夕食の時にして、私は約束を取り付けた。

欲しい物なんて本当は何もない。

強いてゆうなら、この前切れたポストイットくらいか。

私はただ単に、二人の時間を外で共有したくなったのだ。

簡単に言えば、思い出作りと名うった初デート。

子供の頃、して貰えなかっただろう事を、片っ端からしてあげようと思い立った。


「連理!見て見て!!これデカ過ぎない?本当にこれ本物?信じらんない!」


今日、二人で来たのは水族館。

考えてみれば、学校の遠足以来、私も来たことが無かった。

家の親は片親だったから忙しかったし、旅行なんて両親揃って居る時に一回くらいしか記憶にない。

連理を楽しませるつもりだったのに、むしろ自分がはしゃいでしまっている始末。


「本物に決まってるだろ。そう言えば、マンボウって食えるの知ってた?」


「うぇぇ?!マジで?これを?無理ーーーー!!」


「今度、取り寄せて作ってやろっか?」


「無理、無理、無理ーーーー!」


「あはははははっ!結構旨いらしいから大丈夫だって!!」


「やだぁ!絶対食べないからね!」


ガラスの水槽にコンコンと爪で音を立てると、マンボウは小さな口をパクパクさせて、近寄って来た。


「わぁ!こっちに来た!!連理!早くこっち!!写真取ろ!!」


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