Pathological love
「そう言えば白精堂の広告デザイン、うちでやるんじゃないそうですよ?プレゼンで決めるとか………。令子さん、知ってました?」
「そうなんだ。今回はあくまでもサポートだから、決定以前の内部事情は私も知らないの。山川くんは色々知っていると思うけど………まぁ、私達の負担は減るからいいじゃない。」
「ですね~。…………じゃ、帰りますか!」
思いがけない出会いの初打ち合わせが少し気掛かりだけれど、程好い疲れが心地好かった。
きっとそう思えるのも、帰りを待っていてくれる人がいるからだろうか。
私は家路に着く間、少し浮かれながら夕飯の予想を立てて歩いた。
「ただいま~!」
「おかえり。丁度、今出来たとこ…すぐ食べる?」
「いい匂~い!今日は何?私の予想はシチュー!!」
「グラタン。」
「えぇ!!グラタンって家で作れるの?!」
「当たり前だろ。ほら、冷める前にさっさと着替えてくる!」
連理はミトンをはめた手で私の頭をポンと叩いて笑った。
(ヤバイ………こうゆう自然なボディタッチ、弱いんだけど………。)
私は顔が赤くなる前に、着替えに部屋へ戻った。
「ふぅ~………ヤバイ、ヤバイ、顔が落ち着いたら行かなきゃ…。」
漸く落ち着いて戻ると、連理はテーブルに肘を置いてふて腐れたように顎を乗せていた。
「遅い………。冷めるって言っただろ。」
「ごっごめん!!私が温め直すから待ってて!!」
ムスッとした連理の機嫌を取る為に、私は急いで話題を探した。