Pathological love
コンペから数日経って、忙しくて間宮印刷への出向も儘ならない状態の俺は、事務所の個室に缶詰状態になっていた。
「秋山~…居るかぁ~?」
「………………………。」
コンビニのビニール袋を提げて、営業の仲井が入って来た。
「おいっ!こらっ!無視すんなっ!!」
「仲井………何か用か?今忙しー」
「忙しいのは分かるけど、飯くらい食え!!お前に倒れられたら、全てがおじゃんなんだからな!!」
ビニール袋を押し付けられて、ずっとご飯を食べていない事に気がついた。
「………………腹減ったな。」
「だから、食えって!」
「フフッ………。」
「何笑ってんだよ…全く。仕事に没頭すると本当に自分の事何もしなくなるよな?いつもボーッと何かを考えて、まるで別次元に居るみたいだよな………お前って。」
仲井は近くのソファーにドカッと座ると、自身もコンビニのおにぎりの封を開けた。
「今一、俺の中でコンセプトってゆうか、シンボル的なイメージが弱いんだよなぁ………。この化粧品の自然素材のピュアな感じをもっと出したいんだけど………何かねーかな………。」
「まぁ、いいもの作るために頭悩ましてんだろうけど、今夜、白精堂の社長との会食だから、その時はビシッと決めてくれよ?」
「大丈夫だって………。」
仲井に疑いの眼差を向けられつつも、俺は構わずサンドウィッチにかじりついた。
仕事が忙しくて、最近夕食を一緒にとっていないから、彼女を全く見ていない。
(ちゃんとしたもの食べてるだろうか………。)
味気ないコンビニのサンドウィッチを食べながら俺はそんな事を考えていた。