Pathological love
「新嶋社長、今日はお招きありがとうございます!!」
「やぁ、仲井くん!!いつでも君は元気があって、清々しいな!!元気だけじゃなく、仕事も出来るから頼もしい!うちの営業に欲しいくらいだよ!!」
「新嶋社長にお誉めの言葉を頂けるとは光栄です!!」
新嶋社長はチラッと目線を横にずらして、品定めでもするかの様に俺を見た。
大企業の社長だけあって、貫禄と歳には負けない勢いが見てとれる。
「そして、君が秋山連理くんだね。コンペの時は顔を見るだけで、直接話はしなかったね?」
「はい。デザインだけで勝負するのが俺の役目ですから。それ以外はでしゃばりません。」
「あっ秋山!!言葉を慎め!新嶋社長に失礼だぞ!!すいません新嶋社長!うちの秋山は創作活動に入ると人が変わった様に周りが見えなくなるもので…、お気を悪くされませんでしたか?」
「ハハッ!!潔い男だ。職人気質なんだね?気に入ったよ。」
「………………。」
頭の中で一つアイディアが浮かんで、また消える。
新嶋社長を目の前にしても俺の思考は宙を舞っていた。
「秋山!こっちに座るぞ!」
仲井に肘を小突かれて、また現実に引き戻される。
早く一人になりたい。
俺はそんな事ばかりを考えていた。
「秋山くん!今日は君に紹介したい人がいるんだ。呼んでもいいかね?」
「………はい。」
「美鈴!」
「…はい。…失礼します。」
静かに襖を開けて若い女性が入ってきた。
フェミニンな白のワンピースがよく似合っていて、とても上品なその人は、落ち着いた様子で畳の上を歩いて来た。